2013年12月11日水曜日
オニヤンマ
日本で最大のトンボである。
黒地に黄色い紋が美しいが、複眼の緑色の美しさは息を呑むほどである。
このトンボに初めて触れたのは小学校4年だったと思うが、両親と養老渓谷に一泊で旅行した時である。
養老渓谷ではオニヤンマが比較的高いところを飛んでいて、持って行った子供用の虫取り網では届かない高さを悠々と飛んでいた。
父に「採ってよ~。」とせがんだが、父も「高すぎるなぁ。」と言って、しばらくは下からその姿を眺めるだけだった。
しばらく歩くと、農家が刈った稲を干す竹竿がまとめて置いてあるところがあった。
そこから父は1本の竿を拝借して、虫取り網につないだのである。
オニヤンマは決まったコースを周回する習性があるので、父はまずコースを見極めていた。
そして何度か通過したのを見た後、これを捕まえた。
網の中で暴れる音もすごかったが、その複眼の美しさに惚れ惚れしてしまった。
今でも昆虫の複眼の中ではヤマトンボ類と並んで1・2を争う美しさだと思う。
結局その日は2匹のオニヤンマを採ってもらった。
ビニール袋に入れて持って帰ったオニヤンマは、やがて死んだ。
その頃はトンボを的確に標本にする腕もなく(今もあるわけではないが)、アセトンの存在も知らなかった。
オニヤンマの美しい緑の複眼や黄色い紋はやがて色彩を失い、黒く乾いていった。
父は子供の頃鳥もちを使ってギンヤンマなどを捉えていたという。
しかも東京の碑文谷で。
その頃に身につけた技をずっと持ち続けていたのだろう。
大抵の昆虫は頼むと採ってくれた。
今思うと凄いことである。
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