2013年12月8日日曜日
タマムシ
虫があまり好きではない人も知っているきれいな甲虫である。
小学校1年か2年の頃、交代勤務の父が夜勤の日だった。
午前中近所の雑木林に一緒に虫採りに出かけた時のことである。
林の中の道の上、それほど高くない所にタマムシが1匹飛んでいた。
なんということもなく父が捕まえてくれ、家に持って帰った。
家では虫籠の中に入れられたタマムシはブンブン飛び回り、翅の下の腹の背側の美しい色を見せていた。
この色は緑色を主体とする翅や前胸背板とは全然色が違い青っぽいのだ。
父は夕方出勤するので寝ており、母は買い物に出ていて一人でこれを見ていた。
しばらくはそのまま見ていたのだが、そのうちこれをじっくり見たいという欲望が湧いてきた。
一人でいて、とりあえずいじくり回しても怒る人がいないのをいいことに、虫籠からタマムシを出すと前翅を強引に開いて腹の背の色を見ていた。
タマムシにもそれは迷惑な話で、中々簡単には翅を開いてくれない。
何度かやっているうちに、片方の前翅が取れてしまった。
頭のなかに「せっかくお父さんが採ってくれたのに。目を覚まして、これを見たら怒られるだろうなぁ。」という思いがあった。
母が帰って来た時には別段タマムシについては触れなかった。
いよいよ父が起きると「なんか、ブンブン飛んでいるうちに翅が取れちゃった。」と嘘をついた。
父は「そうか。」とだけ言った。
そんな嘘簡単にバレるに決まっているが、父は別段咎めはしなかった。
子供には良くあることだ、とでも思ったのだろうか。
写真のタマムシは切り倒して玉切にしたサクラの材に産卵しているものである。
タマムシの食餌木としてはサクラ、エノキがすぐに思い当たるが結構嗜好性は広いらしく、去年はコブシに産卵しているものを見た。
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